シャマラン作品はできるだけちゃんと映画館で観たいなぁと思っているのだが、本作『トラップ』は中々スケジュールが合わずに後回しにしていたのだがやっと観れました。んで結論から言うと面白かった。面白かったけど、別に公開初日に気合い入れて観るような映画では全くなくてまぁ時間が合ったしとりあえず観とくか…くらいのノリがピッタリな映画でしたね。そういう意味では面白いと書いたばかりでアレなんだが、ぶっちゃけそんなに面白いっていうわけでもない。いや、むしろ期待に胸を膨らませて劇場へ行くとガッカリするくらいかもしれない。
でも個人的にはそこ含めていい映画でしたね。いやだってね、俺は本作をド平日の真っ昼間で席も2割ほどしか埋まっていないという回でウトウトしながら観るという状況で本作を体験できたんですよ。これはもう勝ったね(何にだ)という感じでしたよ。シャマラン作品を、しかもシャマラン作品の中でも特にこれといったメッセージ性のない緩いウェルメイドなクライムサスペンスを、そういうシチュエーションで観ることができたっていうのはもう勝ちなんですよ。何に勝ったのかと敢えて言うのであればチケット代以上の体験はしたなと確信を持って言えるのでそういう意味では間違いなく勝ったと言える。まぁでもそれはそれとして、上記したように映画自体はそこまで面白いっていうものでもなくてウトウトから目が覚めるたびに(ふーん…こういう展開なんだ…)と驚くこともなく平温な気持ちで観ちゃうくらいのぼちぼちな感じではありましたけどね!
お話しに関してはだね、どこまで説明するかで結構印象の変わっちゃう映画なのでどう書くのか難しいんだが、少なくとも俺は何度か予告編を見ていたにも拘らず完全に内容を忘れていて、父と娘が訪れた大人気ミュージシャンのライブ会場に連続殺人鬼が潜んでいる、ということしか知らないっていう前情報で観たんですよ。ま、映画の内容自体も大体そういう感じですよ。
FBIが何故か(理由は劇中で明かされるが)10人以上を殺してる猟奇殺人鬼がそのライブのチケットを買ったという情報を得て、ライブ会場に警官を大量投入するんですね。そこでの犯人側とFBI側との攻防が本作の見どころのメインになるのだが、予告編ではどうもその犯人も分かるようになっているっぽくてそれはちょっと過剰な予告だなぁと思ってしまった。既に書いたように俺はライブ会場に殺人鬼がいるっていう前情報しかなかったから、渦中の人物が本当に犯人なのかどうか!? という部分でも結構ドキドキしながら観ていたんですよね(まぁ結構寝たけど…)。あの人がこんな言動をするのには何か裏があるのではないか、とか色々深読みしながら(そして寝ながら)観ていたから、なんかより楽しめたなっていう感じはしますね。
シャマランの娘が歌姫役で出演しているというライブシーンも結構しっかりと作ってあって、まぁライブ中に席離れすぎだろ! みたいなツッコミどころはあるものの映像的には申し分ない臨場感で、中盤に入るくらいまでは誰が犯人なのかでもドキドキできる(繰り返すが俺は予告編の内容を忘れていたので…)作りもよく出来ていてクライムサスペンスとしては全然悪くない出来ではあったと思う。ま、これも上記したように名作とか傑作とか言うほどではなくて、全然悪くないなこれ! という感覚ど真ん中に刺さるような映画でそれ以上でもそれ以下でもないのだが…。
だからまぁ思ったほどではなかったなとか、期待値に比べたらつまんなかったなと思う人もいる映画ではあろうと思う。シャマランといえば大どんでん返し! という、もう四半世紀前の映画である『シックス・センス』の印象を未だに引きずっているであろう人が観たら、何だよすげぇ普通の映画じゃん! と思ってしまうだろうが、個人的にはその普通さがシャマランの職人的映画人のレベルの高さを感じさせて、いいなぁ~~コレ! と思いながら観ちゃいましたね。
もうね、適当に流し見してるだけでお話について行けるし映画内の情報だけで楽しめるんですよね。全何部作とかの超大作じゃないし原作があるわけでもないし斬新で個性的な表現があるわけでもないし、多少の批評性はあるにしても重厚なメッセージ性とか同時代性のようなものもなくて画面の中で起こっていることだけで一本の娯楽映画として面白く観られるんですよ。それでいて、この先どうなるんだろう…というサスペンス的なハラハラ感もある。これは良く出来た映画ですよ。展開がご都合的に思えるのもご愛敬くらいのもんでしょう。良くも悪くも暇つぶしの作り話なんだよというところを前面に出しているし、またその部分にこそシャマランの矜持も感じるという映画なのだと思いましたね。
だからちゃんと観ても良し、寝ながら観ても良しになっている作品で、そりゃ俺としてはそういう作品好きですよ。まぁそこは言葉の綾で、ちゃんと観てもめちゃくちゃ面白いわけではないから寝ながら観てもちょうどいいくらい、っていう言い方もできるがな!!
そういう映画なので繰り返すが、平日の昼間のガラガラの劇場で居眠りしながら観たっていうのが最高のシチュエーションだったという作品でした。なんていうことはないけど、なんていうことのない日常の隣にするりと入り込んで100分そこそこで、まぁまぁ面白かったな…と思わせてくれる映画ですよ。具体的な内容に触れるとネタバレの嵐になるのでふんわりとした印象だけの感想文になってしまったが、そういう緩い映画だと思って臨めば楽しめるのではないでしょうか。午後ローで見たら超面白いと思うよ。
あ、でも少しだけ内容に触れるとこの映画に出てきたFBI共は給料半分くらいにした方がいいぞ! 何回同じミスするんだよ!
その辺のツッコミどころは沢山あるけど、まぁ別にいいかと思える人なら楽しめると思いますね。ちなみに俺は寝てる間に父娘がバックステージに移動していたのだが、どうやってあそこに行ったんだろうか。そこはちょっと謎だった。謎っていうか俺が寝てたから謎なんだが…。
あとお約束のシャマランのカメオ出演も観逃がしたが今回はどんな役どころで出たんだろう。娘が出てるから自分はまぁいいか…となった可能性も考えたが、シャマランならきっと出演したはず! どこで出てたんだろうなぁ。まぁ確認するためにもう一回観ようとまでは思いませんが!!