「ある日、推しが犯罪者になった…」このキャッチから、新しい。監督と撮る対象の近さ。ドキュメンタリー映画というと、対象を、なるべく客観的に撮るものだと思ってた。でもこの映画は、急に出てきた難題を、監督自身がなんとか説明を探して区切りをつけて進んでいく…監督自身のドキュメンタリーでもあって。ヒーリングのような。
自分には彼女たちほどの「推し」がいないけれど。自分の青春の大部分を賭してきた人。その人に、“裏切られる”。自分が、彼を応援するため、なんら厭わず、喜んで出していたお金、かけてきた時間。積み上げて、糧にしてきた思い出。それら全てが否定される。それはつまり、推していた自分自身をも否定すること。その思い出は捨てられないのに。
インタビューを受ける「ソンドク」たちとの対話も、人それぞれで。ジューサーをぶっ壊してしまったシーンは思わず吹き出してしまった一方で、かつての「推し」を最後まで散々に罵った彼女は逆に心配になってしまったり。推しの喪失を過去にするには、やはり新しい推しを見つけることなのかな、でもそこでまた裏切られる恐さは渦巻き。面白かった！
