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π〈パイ〉 デジタルリマスターのregencyのレビュー・感想・評価

2.5
詳細レビュー↓
https://cinemarche.net/suspense/pi-remaster-matsu/

ダーレン・アロノフスキーの作品はそこそこ観ているが、長編デビュー作となった本作を観るのは、今回のデジタルリマスター版が初見。数字に憑りつかれた男の妄想を、エッジの効いた前衛的な映像で描いているが、本人も語っていたが塚本晋也の『鉄男』へのオマージュがビンビンに炸裂している。それよりも何よりも、彼のその後のフィルモグラフィとダブる描写が詰まっている。
それは、信念と追い求めるうちに、次第にそれが妄想となり憑りつかれていく人間が主人公という点。『レクイエム・フォー・ドリーム』では若いカップルが麻薬に溺れ、『ノア 約束の舟』では民や動物を救う方舟作りに男が執着し、『ブラック・スワン』では完璧な踊りを求めるバレリーナが黒鳥と同化していく。
個人的にはこの監督の作品は当たり外れある。『レスラー』、『マザー!』は好きだが『レクイエム・フォー・ドリーム』、『ノア 約束の舟』は苦手だった。本作も正直言ってあんまりノレなかったけど、『ノア』を作った理由も『レスラー』のランディがキリストと重ねられているのも、ようやく納得できた。「デビュー作には作家の全てが詰まっている」法則はここでも発動していたのだ。
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