ノラネコの呑んで観るシネマ

ザ・エクスチェンジのノラネコの呑んで観るシネマのレビュー・感想・評価

ザ・エクスチェンジ(2022年製作の映画)
4.0
2014年のドンパス地域。
ウクライナ軍に志願した息子が、分離派の兵士に捕まって身代金を要求されたので、外科医の父さんが頑張る。
ウクライナ製の戦争プロパガンダ映画だが、これがよく考えられている。
まず分離派の背後にいるロシア軍は悪だが、指揮下にあるロシア系分離派兵士は必ずしもそうでは無いというスタンス。
さらに主人公が戦闘スキルゼロ、ちょいポチャの人道主義者の民間人で、味方でも敵でも助けてしまう。
どう見ても戦場で息子の奪還なんてできそうも無いのに、その人間性が事態を打開し、最終的に政治的立場を超えて、父親同士の共感の物語に着地する。
ロシア系の分離派も、あくまでも同胞のウクライナ人だというあたり、プロパガンダ作るのにも色々気を使ってる。
アクション映画的な要素は少ないが、なかなかスリリングで面白かった。
ウクライナ製のこの種の映画がおしなべて現在ではなく、14年以降の事象を扱っているのも、侵略は2022年に始まった訳ではなく、2014年からずっと続いているということを強調するためだろう。
戦争が長引いているので、今後現在進行形の作品も出てくるかも知れないけど。