くさむすび

クワイエット・プレイス:DAY 1のくさむすびのネタバレレビュー・内容・結末

4.5

このレビューはネタバレを含みます

全然期待してなかったのも十分に影響してると思うが、良い映画だった。後味が"面白い"というより、"良い映画"。
マイケル・サルノスキ監督の前作『PIG』は、あらすじと近年のニコケイの出演作がもたらす先入観を逆手にとって静謐な人間ドラマを展開する作品だったけど、今回はクワイエット・プレイスというシリーズに観客が抱くイメージをひっくり返すような人間ドラマが展開されている。音を出したら即死の荒廃した世界×余命僅かの女性。語弊があるかもしれないが、絶望のダブルパンチ。しかし、ピザを食べるためという細やかに見える"希望"のために何とか生き延びようとする力強い人間のドラマになっているのが素晴らしかったし、ピザを食べた後エリックに黄色いジャケットを継承させる、命を繋いでいく描写には思わず涙してしまった。
かと言ってシリーズが関係ない作品になっている訳ではなく、絶望まみれの何とか希望を見出そうとするのはPART2の話にも通ずるし、しっかりパニック映画らしい怖さも持っている。タイトルバック「DAY ONE」の出し方は唸ったし、エンドロールへの入り方も最高。この世界最強である猫や、雷の使い方も光ってから音が轟くまでのラグを利用して蹴破るギミックと繋げているのは上手いし、それだけでなく鬱憤を吐露するための叫びが唯一許される時間として雷が活かされている。様々なアイデアにも優れていた作品。
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