正直『クワイエット・プレイス』シリーズは1・2ともそんなに好きじゃないんですが、今作は監督が『PIG』を撮ったマイケル・サルノスキになるということでちょっとどうなるか予想がつかなかったので映画館で見ることにしました。
テイストはたしかに変わったけど、結局自分はクワイエット・プレイスは好きになれないなと再認識させられました。
マイケル・サルノスキ監督の色が出ていて、それでいてクワイエット・プレイスの世界観を崩さずに展開していったのはすごいと思います。安直なモンスターパニックものになりそうな題材なのに、そこにある種のウエットさをまとわせながら進んでいってその切り口は割と好きです。猫ちゃんが一緒についてくる設定とか、最初は「安直に動物要素付け加えさせやがって」と思いましたが、この猫がいることが物語上全くネガティブに働かないのも意外で良かった。ただそうすると本当にこの猫は必要だったのかという疑問も浮かびますが。
前作とはちがい、舞台が都会ニューヨークになったのも怪物のアクションにバリエーションが出てよかったと思う。ガラス張りのビルを突き破って怪物たちが襲ってくるシーンとかかなり好き。
ただ、それでもクワイエット・プレイスシリーズの肝心なところで盛り上がりきれない部分も相変わらず出てしまっているなと思いました。今回はデイ1なので、人々が音を出してはいけないというルールに気づかず襲われまくるんだろうなと期待していましたが、まさかのみんな1日でそのルールを把握しだすという。まぁ、るーるを知らないやつは1日でみんな殺されたと考えれば妥当っちゃ妥当ですけど、いっぱい人がひどい目にあうのを期待していた自分としては消化不良。サルノスキ映画なのでそういう方向に行かないことも納得はできるんですが、観たいものは正直見れなかった。
画面も暗いし、正直スゲー辛気臭い話ではある。人間の感情の機微とか、死が迫っていても尊厳を捨てずに行きていくみたいなテーマがあることはわかるし、それが刺さる人がいることも理解できるんですが、ここは明確にnot for me。クワイエット・プレイスシリーズ全部に言えることですが、いいキャストが揃っているのにみんなが言葉を発さず息を潜めて映画が進んでいくのであまりキャストの力が伝わってこないという難点は今作も健在といったところか。
このシリーズはずっと「俺達の戦いはこれからだ!」エンドをしますが、いつまでそれをやるのか。沈黙のルールも割と無茶苦茶な気がしますが、こんだけシリーズができるってことはセカイではそこそこ人気なのかな。
猫の名前がフロドで、飼い主の名前がサムて。狙いすぎ。