江本純子ならではのがさつさとぐだぐだ感、そしてそれと表裏一体の繊細さを味わうことができる面白い作品だった。「愛」に翻弄される三人の美しい女性の物語である。彼女たちは愛なんて信じていない。愛は移ろいやすく、逃げ水のようにはかない幻影だ。そうとわかりつつ、彼女たちは愛にその全存在を託し、すがらずには生きていけない。
物語の展開は夢想的で飛躍があるが、各場面での台詞や演技はハイパーリアリズムで、そのリアリティに驚嘆して見ていたんだが、アフタートークによると各場の設定だけを俳優たちに与え、即興的に演技させていたとのこと。
遠藤留奈をはじめ、女優三名がみな美しく、そしていびつさを抱えていて、実に魅力的だった。