これぞ黒沢清ワールド！
物語の設定はインターネットで転売屋の吉井(菅田将暉)が、不特定の人たちの恨みをいつの間にか買ってというものだが、細かい設定の現実感より、理解できない他者の怖さと、後半の銃撃戦を通して非日常の世界へと変容していく「寓話」それが黒沢清独特の語り口で描かれる。
いや、本当に面白かった。
そして黒沢清の映画では良く登場する主人公を異世界(非日常)へ誘うメフィスト的な人物がいるが、それがまさかの奥平大兼くん。どことなく表情の読めない雰囲気は、彼にぴったり。古川琴音の一皮むけばクソな性格な感じや、窪田正孝、荒川良々のどこか狂った感じなどとても良かった。
でもこの作品を普通のサスペンスとして観に行くと、がっかりするかも。
そこを含めて黒沢清ワールド。
わたしは大満足でした。
