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「太陽」を売った少女のKnightsofOdessaのレビュー・感想・評価

「太陽」を売った少女(1999年製作の映画)
4.9
[男の子が出来ることは、女の子でも出来るんじゃい!] 99点

短いから見るかくらいのテンションだったのだが、短編ベスト10に入るくらい面白かった。監督の名前も聞いたことなかったのが、「Touki Bouki」(この前スコセッシがリマスターした)の人らしい。セネガル映画ね、覚えとくよ。

左足が悪く松葉杖(正確にはロフストランドクラッチ)を使う少女シリ・ラームは物乞いを止めて”ソレイユ”という新聞を売ってお金を稼ぐ決意をする。曰く、”男の子が出来ることは、女の子でも出来るんじゃい!”。すると新聞売のシマ争いに巻き込まれたり別の新聞スッドを売る青年と出会ったり、同情で貰った1万フランが警察に目を付けられたりするのだが、持ち前の度胸と明るさでそれぞれに対応していく。図らずも敵対してしまった新聞売のグループに片方のクラッチを持ち去る嫌がらせを受けた後、青年に負われて光に向かって進むという神々しいシーンで映画は終わる。

新聞売が多すぎて街を行く人々が全員”ソレイユ”を読んでいるのには爆笑必至。また、車椅子の男が「デカローグ」のアルトゥル・バルチシ並に不定期出没し、決して干渉せずにシリを見守る姿は何とも美しい。

私は、MUBIの”悪い映画を見るにゃ人生短いぜ”と言いつつ、彼らの提示する映画が総じて優れた映画とも限らず、結局は見てみないと良い映画か悪い映画かなんて判別できないという矛盾が好きなんだが、たまにこういう題名すら知らなかった傑作に当たると彼らの理念にも共感できるしウィンウィンなんだよね。
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