Miri

アインシュタインと原爆のMiriのレビュー・感想・評価

アインシュタインと原爆(2024年製作の映画)
3.7
NHKのパタフライエフェクト『マンハッタン計画 オッペンハイマーの栄光と罪』、『Oppenheimer』を見て、この作品を見るとアインシュタインが間接的にどうアメリカを核軍拡競争へ引き入れるきっかけをつくることになったのかが歴史として理解できた。アインシュタインを役者が演じてはいるが、セリフに関しては彼の発言や書いたものが使われており、映像もナチスドイツやユダヤ人迫害、広島の実際の映像が使用されていてドキュメンタリー映画のようであった。
本作は1933年、ドイツ出身ユダヤ人のアルバート・アインシュタインがドイツからの迫害、脅威から身を隠すためにイギリスで逃亡生活を送っているところからスタート。平和主義者であるが、ユダヤ人としての立場や歴史、ナチス・ドイツの核技術開発の脅威等々が影響しあってルーズベルト宛の原子爆弾の開発を求める書簡への署名に至ったかが描かれていた。原爆開発直接には関与せずとも、原子力エネルギーの研究に携わっていたり、いかに影響力があるかが伺えた。
アインシュタインは基礎的な部分は学術的に築き上げたが、そのエネルギーがいかにして利用できるかについては明らかにしたことはないらしい。科学や技術という部分は進歩し続けるものではあるが、それをいかに利用するかと言う部分は科学・技術を学んできた人間として毎回考えさせられる部分であると感じる。価値観・倫理観の重要性、変化への対応の柔軟性。それがこれからも求められると思う。
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