なんと言っても柴咲コウのハマりっぷりが凄い。なぜ黒沢清作品に出ていなかったんだろうと思わせる目力と存在感。ラストカットは文字通り目だけなので、相当清もお気に入りだったろうことが伺える。
もはや俳優としての姿が貴重なマチューアマルリックが地面に落ちた食べ物を頬張るところのドSっぷり。同じショットで柴咲コウは半田付け?していて、奥ではダミアンぼナールが拳銃を売っているというマルチアクションが1番すごかったかな。
最近の黒沢清作品として話が重い上に編集のテンポも遅いのでどうしてもカラッとした印象が無くなるというのが特徴なのだが、本作もそれは同様で脚本の進みが遅く、観ている側も引きつけられない。
それでもやはり話の閉じ方は上手いので、良い映画を見たなという気持ちにはさせられる。
西島秀俊が出てきただけで黒沢清感が爆上げするのが凄い。意味ありげな何の意味もないセリフ。クリーピー終盤のような魂の抜けた西島の演技も絶品。