序盤の意味不明さと展開の緩やかさに離脱しそうになりながらも、ヒロインが出てきてからの映画の開けっぷりに感動する。え⁉︎こんな小規模映画に蒼井優出てきた⁉︎と見間違えてしまった山本ナイル(「猫は逃げた」の人か!)の肩の抜けまくった演技はため息が出るほど素晴らしい。どこまで脚本で表現されているか分からないが微妙に敬語の残ったやり取りも愛くるしい。ドアに挟んだハイライトなど、細部の要素も効いている。ともすれば1日限りになりそうな偶然の出会いが、映画の魔力を使って引き伸ばされていく。と同時に、そこには避けようのない別れも存在する。宮田がどのような経緯で宗教にハマったかは明かされないが、そこにも確実に別れがファクターとなっているはず。
ロメロの話で盛り上がるのは「桐島」→「猿楽町で会いましょう」から3回目なのだが、映画の中で言及される映画の定番なのか?アンがカラオケコンテストのリハをやっているのを上から見る場面は「タレンタイム」を思い出したり。よく比較されるだろう「アフターサン」よりも百倍好き。