自分のこぶしをふたつ並べて、どちらか好きな方を選び、それを続けて行くこと。日々は誰のせいにもできないことばかりで、背負うことも、免れることも、どっちも嫌だと笑えていた頃のままでは、立ち行かなくなってしまう。そして、それを人には悟らせまいとするのも、ありのままを語ってしまうのも、そもそも、ほどいた手のひらの中に、何もないからできることなんだなと、そんな風に考えてみたりもする。次があるなんてこと、きみたちはまだ想像もしないから。そんな夢みたいなこと、かつてのわたしなら、絶対に言わなかっただろうし、誰の目にも、この物語が同じに見えているのなら、わたしがここに見たひかりのほとんどは、幻だったのだろうと思う。