スケートリンクに差し込む光や真っ白な雪景色に引けを取らないくらいの真っ直ぐさと無邪気さでほっこりする世界。と思っていたら、とあるきっかけから大きな衝突もなく釈然としないまま距離が遠くなっていってしまうのが見ていて胸が苦しかった。田舎町の少ない出会いから生まれた温かい感情は、離れたのちに大きな喪失感となって押し寄せる。芽生えたての憧れにも似た感情からはじまる素敵な物語で、状況が一転する要因もそのピュアな心によるものなのが辛い。あまりにも言葉足らずなまま時間が過ぎてしまうところにリアリティを感じた反面、個人的に物語としてはあっさりしたものに感じてしまった。
荒川の指導者として子供たちと関わる距離感がとても自然で、演技を超えた池松壮亮の根底にある真面目な人格や人の良さが滲み出ていた感じがする。