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ヒプノシス レコードジャケットの美学のMALPASOのレビュー・感想・評価

3.4
映画『ヒプノシス レコードジャケットの美学』

ロック好きにはたまらない興味深い映画。

ピンク・フロイド、レッド・ツェツペリン、ポール・マッカートニー、10cc、ピーター・ガブリエルなどのレコード・ジャケットを手がけたデザイン集団『ヒプノシス』。その1968年から1983年の活動を追ったドキュメンタリー。主に語られるのは、中心人物で、天才ストーム・トーガソンの逸話。

ヒプノシスの元メンバー、ロジャー・ウォーターズ、デヴィッド・ギルモア、ポール・マッカートニー、リアム・ギャラガーらにインタビュー。リアムは「高過ぎて」ヒプノシスに依頼した事はない。

監督はドキュメンタリーは初のアントン・コービン。アントン自身数々のジャケット写真を手がけている。

ピンク・フロイドの『原子心母』の牛は何の意味もないことがわかる。全く関係のないものをジャケットに使うことで、話題作りをしたのである。
まだCGがない時代、全ては現場で撮影されていた。さらに色を変えるのも手作業。ピンク・フロイドの有名なジャケット『アニマル』
は、ロンドンのバタシー発電所の煙突の間を巨大な豚が飛んでいる。当初は巨大な豚の風船を上げて撮影が行われている。『炎』の写真はスタントマンに火を着けて命懸けの撮影。
写真をあえて小さく配置したり、構図が面白い!ひじょうに興味深いエピソードが満載だった。
僕は特に10ccのジャケット群が好き!

ジャケ買いとか、もう死後。中高の頃、ジャケ買いをした。当時、いい音楽の見分け方は「椰子の木」だった。トロピカルというよりは、大半がウエストコーストものだから。ハズレはなかった。昔は、日本だけ西海岸風のイラストにしているものもあった。
面白いエピソードが満載でひじょうに興味深い内容だった。

今のデザインや映画はCGで作られたものが多い。生身だからこそ
語るべき驚きのエピソードがあり、面白いが、今後は語ることが無くなるのだろうか?
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