このレビューはネタバレを含みます
子供の頃、学校に行けなくなり、大人になっても読み書きできない保と、保を支える皎子(きょうこ)。
保は定年退職後、一念発起して夜間学校に通うことを決め、入学初日に「クリスマスに皎子にラブレターを渡す」と誓う。
しかし思いのほか字を覚えることが難しく、約束を果たせないまま、数年も通い続けることになる。
保は読み書きできないことでなかなか手に職が付かなかったが、寿司屋の大将に可愛がられ、徐々に立派な寿司職人に。そんな折、見合いの話が舞い込んできた。その相手がタイプライターの皎子だった。読み書きできないことが明かせないままデートを重ねて、二人は結婚した。皎子からクリスマスに万年筆✒️をプレゼントされ困惑する。さらにラブレターを受け取ったが、読めないことが悔しくて、でも理解したくて、隠れて手紙を口の中に入れる保。結婚から半年後、回覧板で自筆の署名が必要となり、読み書きできないことを明かす。皎子は「保の手になる」と寄り添った。それから保と皎子は2人の娘に恵まれた。
現代に戻り、これまで皎子に負担をかけてきたことを不憫に思った保は、娘たちに「ラブレターを渡したら学校を辞めようと思う」と伝える。
そしてラブレターを書き終え、皎子に読んでもらったが、「65点。まだまだやな。」と厳しく返事。
次こそ100点満点💯を目指し学校へ通う保。
娘からもらった宿泊券で旅館に泊まったとき、皎子がふらついて倒れてしまう。精密検査の結果、脳の血流の悪化が原因だった。
皎子を看病しながら、保はラブレターを書き進めた。「皎子は幸せだったのか?」を問うか悩んでいたが、「僕は幸せです」と手紙に書き、ついにラブレターを書き終えた。渡す日はクリスマスと決めていたが、それも叶わず、クリスマス2日前に皎子は再び倒れ帰らぬ人となった。
皎子を失い学校に行けなくなった保。だが、古いタイプライターに皎子からのラブレターの返事を見つけた。皎子が「65点」と厳しい採点をしたのは、保が学校を辞めてしまったら、また読み書きできない場面に合うのではと保の将来を案じてのことだったと明かしていた。皎子の手紙には「幸せでした」と書かれていた。
再び学校に通い、ついに保は夜間学校を卒業することに。娘が皎子のバッグから保の万年筆を見つける。字が書けなかった保への気遣いであった。
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皎子の「ありがとさん」がめちゃくちゃ良かった。ここまで寄り添うって愛の力はすごいなと思ったり。
保の明るい性格のおかげで、引きこもり男子がみるみるうちにコミュ力したのも良かった。彼と女の子達が実は結婚してたりしないかな、なんて思ったり。