Sari

フォロウィング 25周年/HDレストア版のSariのレビュー・感想・評価

3.5
巨匠クリストファ・ノーラン監督のデビュー作。

作家を目指す男・ビルは、アイデア探しのために街で目に付いた人間を尾行、観察するという習慣を持っていた。だがあるとき、うっかり尾行相手の男・コッブに気づかれてしまう。

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今や大作から超大作へ移行し、そうした巨大な作品しか観られなくなったクリストファ・ノーラン監督の長編処女作とあって、一体どんな仕上がりの作品なのだろうと興味を持って拝見した。

結論として、制作費が低額なこともあり、小体で凄く良く出来たイギリス製テレビ映画という風に見えなくも無いが、トリッキーでマジカルな物語りは流石にノーラン節炸裂な印象である。

フィルム・ノワールの影響を強く受けた白黒映画であり、時系列はシャッフルされていて終盤になるにつれ登場人物の詳細が明らかになっていくといった特徴を持っているが、制作費が少ない分、脳内で吟味されてアイディアを工夫し尽くした物語に舌を巻かざるを得ない。

話としては、我々と地続きにあるような主人公の情けない物語ながら、アイディアと工夫でエンタテインメントな映画に創り上げる意気と能力が見られ、その後の彼の大成ぶりが伺える映画となっており、人間心理を深く読み取る能力と、映画制作の技巧がすでに明らかである。
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