本日11月6日は、曲亭馬琴(滝沢馬琴)の命日、「馬琴忌」らしい。嘉永元年11月6日(1848年12月1日)、82歳没。
なんて正直、曲亭馬琴の事は教科書で習ったくらいのことしか知らないけれど、面白かった。
役所広司さんと内野聖陽さんの映画だったなぁという感じ。役所さん、『PERFECT DAYS』に続き、良い顔してましたね。
原作の『八犬伝』(山田風太郎、1983)を読んでないので原作ではどう描かれているのか分からないけれど、馬琴と北斎、作家と絵師が「昼間から閉じこもって」、虚の世界に夢中になる。
鶴屋南北(立川談春)は怖かったな。理想家の馬琴はおかんむりですよ。四谷怪談は贅沢だったなぁ。もっと観たくなる。
馬琴の後半生を『南総里見八犬伝』の執筆とからめて描いたものだけれど、語られる「虚と実」については正直良く分からなかった。
原作を読めば「虚と実」、また馬琴についての山田風太郎氏の思いと解釈も読み取れるのかも。
ファンタジー部分については、何と言うかバランスが良くて観やすかった。ダイナミックな景観も満喫しました。
ただ私の中で『南総里見八犬伝』と言えば、深作欣二監督の『里見八犬伝』(1983)になってしまっているので、めくるめく面妖な世界としては少しパンチが足りなかった気もするし、翁の頭の中の実写化だと思えば、八犬士は妖精のようにも感じられて、全能の虚の世界の住民として美しかったとも思う。
声を掛けずに去って行く北斎の背中が印象的。役所さんと内野さん、馬琴と北斎でいっそ旅にでも出て欲しい。別のファンタジーになっちゃうけど。