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幕末太陽傳の教授のレビュー・感想・評価

幕末太陽傳(1957年製作の映画)
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30年ぶりぐらいに鑑賞。
冒頭から、なんとも洒落た演出。
戦後、の東京の風景から一気に幕末へ。

相模屋という遊郭をグルグルと人間模様が展開する、ってのは今で言う三谷幸喜的な演出、あるいは宮崎駿の「千と千尋の神隠し」にも近い。

落語の「三枚起請」や「品川心中」の話もあり。
というわけで、この30年で随分とこの作品に慣れる下地を学んだのだなぁと感心。

ニヒルな笑顔の陰に闇を孕んだ主役のフランキー堺。
面白いながらも、やっぱり怖い。

石原裕次郎ってそんなに好きじゃないのだけど、高杉晋作とスケール感と、同じくバチバチの久坂玄瑞の小林旭。

豪華キャストの配し方が楽しく、しかし、話にはどこか不穏さとSF感がつきまとう。

という点で、川島雄三監督というのは、実に私小説的に、自身の気分のようなものを無造作に作品に反映させる作家気質なんだとすごく感じた。
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