今年放送中の『わんだふるぷりきゅあ!』が大変面白くてですね、かれこれ15年近くはプリキュアシリーズをリアタイで見続けているおじさんとしてはこの劇場版である『わんだふるぷりきゅあ!ざ・むーびー! ドキドキ♡ゲームの世界で大冒険!』も結構期待していたんですよ。あ、もしかしたら今5年くらい書いてる847本目の感想文にして初めて♡の記号を使ったかもしれないな。まぁそれはどうでもいいか…。
とりあえず本編とも言えるTV版が面白いので劇場版の方も期待していたということなのだが、結論から言うとそれほどでもなかったな~、という感じでした。つまんないと言うほどではないけど取り立てて褒めるところもないという感じ。まぁフルCGパートがあってそこではキャラがSDな感じの等身になっているというのがこれまたそんなに面白くはなかった『映画 Go!プリンセスプリキュア Go!Go!!豪華3本立て!!!』の中の一編と同じ感じだったので、何となく不穏な予感はしていたのだがその勘が的中してしまったという感じであった。
お話はプリキュアの劇場版ではよくあるフォーマットで現実とは違う異世界的なところに出張してそこから脱出したり困ってる人を助けるといった感じのもの。具体的には作中の⼤⼈気ゲームで「ドキドキ♡タヌキングダム」というのがあって、主人公たちがそれをプレイすると何か不思議なタヌキが現れてゲームの中に閉じ込められてしまい、そこから脱出するためにはゲームをクリアしなければいけないということで頑張るというお話です。ちなみにその「ドキドキ♡タヌキングダム」というゲームは若くして天才ゲームデザイナーと呼ばれる女の子(20歳くらいなのかな)が作ったゲームでその子とタイトルにもあるタヌキとの関係性というのが物語の核心になる。
と、ここで一応映画のあらすじ以外の基本情報を解説しておくと本編である『わんだふるぷりきゅあ!』はシリーズ初の犬(人間形態にも変身できるけど)が主人公のプリキュアで、人間と動物との関りを通じて両者が楽しく遊べることの素晴らしさをちびっ子たちに伝えるということがメインテーマの作品なんですね。大きな特徴としてプリキュアシリーズは例外的に『キラキラ☆プリキュアアラモード』を除いて徒手空拳の殴り合いを展開してそれが大きな魅力の一つなのだが、本作『わんだふるぷりきゅあ!』では動物と遊ぶことというのが大きなモチーフな上敵役は無理矢理凶暴化された動物という設定なのでそんな相手を殴ったり蹴ったりできないということで基本暴力描写無しの作品となっている。
それがベースにある作品なので、上記したようにゲームクリエイターとタヌキの関係性とか、ガチの戦闘ではなくてあくまでもゲームであるという設定とかが重要な部分になるわけですね。んで、それを踏まえて本作を観ても、なんというかぶっちゃけ歴代でもわりとガバい脚本だったと思わざるを得ない映画ではありましたね。まぁちびっ子向けの映画なんだから当然なんだけど物語の核にあるゲームクリエイターのお姉さんとタヌキのお話しよりも主役のプリキュアたちにばかり尺が使われてストーリーらしいストーリーが展開しないんですよ。映画の尺の大半はキュアワンダフルとキュアニャミーがゲームを攻略していく部分に使われて(まぁそれは本編ではあまり見ないタッグなので見どころの一つなのだが)物語としては終盤で設定的なものを説明するだけで終わりというだけだったのが何とも薄味だったなぁと思いましたね。
あんまりガチでプリキュア映画にダメ出しをしたくないし、それはそれとして見どころ自体は結構あったので結果としてはまぁヨシかなというところはあるのだが…。やたらイジられる悟くんとその相棒である大福との活躍とかは良かったですね。あと主役組を食わない程度の客演としての魔法つかいとひろがるスカイ組の塩梅もよかった。相変わらず魔法はちょっと都合良すぎだろ! というのはあったが活躍したのがモフルンなので許す。個人的にはニコ様をがっつり見たかったのだが制作時期的にバンクしか出来てなかったのね…というのが一番残念でしたね。
まぁそんな感じで特筆するほど出来は良くないが、まぁこんなもんかなという程度の映画作品でしたね。キュアワンダフルの決め台詞でも一緒に遊ぶということを体現しているのは良かったが、だからこそもうちょいゲームクリエイターとタヌキの物語は見たかったというのはあるが、二本足で立つこむぎやユキの姿を含め緩めのプリキュア映画としては結構面白かったです。