このレビューはネタバレを含みます
最大の問題は、劇中の謎が今回で何も解決しないこと!
今回は田舎町編、後編は東京での捜査復活編みたいな感じかと思っていた。
本編の半分くらいまでは面白かったが、謎が全く解決されないまま終わるとは思わず、今時この作劇をやるのはある意味凄い。
良かったのは、あのお馴染みの各登場人物たちがすっかり老けて定年間際となり、それぞれ大成功とは言えないようなキャリアの終わり際を迎えている点。
シリーズフィーバー時に子供だった自分でも、お馴染みのメンバーがすっかり歳を重ねているのはほんのちょっと胸に来るものがある。
これは当時同世代だった人たちが、同じく定年前後の今見ると、なおさら込み上げるものがあるんじゃないか。
そしてこれは、イケイケだった90-00年代フジテレビの制作者たちにも重なる。
本作の予告の終わりに、亀山千尋や君塚良一、本広克行の名前が「待ってました!」というくらいにデーンというSEと共にデカデカと出た時、なんとも言えぬ寂しさがあった。
踊るとはフジテレビ隆盛期の最大のアイコンであり、不毛地帯だったお台場は同シリーズのおかげで一大観光地と化し、テレビドラマの劇場版という発明で実写日本映画歴代興行収入1位という記録を産み出した。それと同時に、罪と罰も生み出した。(本作上映前の予告はほとんどがドラマ劇場版で、平成の悪しき日本映画の流れが復活しつつある)
それが今やテレビは見る人が減り、フジテレビはドラマもバラエティもかつての勢いはとうに失われ、お台場も再開発が思うように進まずゴーストタウンになりつつある。
本作の登場人物たちは定年間際に際して自分の理想とは違う場所におり、俺たちはもう一度やれるんじゃないかと立ち上がる。
それはフジ絡みの製作陣も同じで、あの時の強いフジテレビをもう一度!
Make FujiTV great again!
みたいな感じなんじゃないだろうか。
実際問題、一度終わらせた踊るを復活させるのは、満を辞しまっくてる感はある。
果たして、前編はぶっちゃけ冒頭の通りで踊るシリーズの良さは無くもないが、単体作品として面白くないという出来となっていた。
後編で挽回できるかどうか。
ただ、現時点でおそらく想定ほど盛り上がっていないので、ちょっとこっちまで寂しい気持ちになってしまった。