サユリのマッケンジーのネタバレレビュー・内容・結末

あらすじ見てちょっと面白そうだなーとは思ってたものの劇場まで観に行くか悩んでいたところ、評判いいし白石監督作品ということもあって観に行くことにした。原作未読。
前半と後半で方向性がかなり変わってくるんだけど、後半はトンチキ白石ワールド全開！霊体ミミズも健在。ただ前半はホラーとしてちゃんと怖かったのがとてもいい。白石監督のコワすぎ！シリーズは面白いし大好きなんだけど、もはやギャグとして観ていたところあるからなー(笑)。やっぱホラーは怖くてなんぼ。ただ子供もしっかり犠牲になるタイプの作品で心が痛い…。弟くんが柱に叩きつけられるシーンとか思わず声出てしまった。

それにしても日常が侵食されていく描写が嫌すぎる！賑やかだった食卓からだんだん人が減っていき、最後にはノリオと婆ちゃんしか残らない。吹き抜けや階段の使い方もよかった。弟くんが死ぬ直前の階段のシーンは見せないからこそ絶対に嫌なことが起きるという想像が掻き立てられて絶望感。見せるところ見せないところの取捨選択って大事だなあ。
前半のホラーパートを丁寧にやったからこそ生まれる後半の逆襲パートのカタルシスが良かった。ホラーによくある何の罪もない人たちが関わってしまっただけで無慈悲に悪霊に取り殺されていくの本当にムカつくから、死んだ人間より生きている人間の方が強いという理論で悪霊に拳を振り上げていく本作は面白いんだけど、サユリの呪いが生まれた原因を見てしまうと少し複雑な気分になる。だとしても何の権利があって無関係の人を殺すのかって話だけど。やるなら大元の原因だけにしない？九条家普通にのうのうと暮らしててビックリしちゃったよ。まあだからこそサユリにも本命への復讐チャンスがあって良かったのかも…。本当にサユリの両親が最悪すぎる。父親は言うまでもなく地獄行きレベルの所業なんだけど、サユリからのSOSを無視した母親も許せない。だから母親が命だけは助かったの少し納得いってない。まあ今後の人生の苦しみはすごそうだが…。
あと度々出てくる必殺の呪文が小学生レベルのくだらなさで好き。

主要キャスト達の演技もなかなか良かった。家族が次々に死んで絶望に打ちひしがれるノリオの表情も良かったし、ボケた婆ちゃんと覚醒ばあちゃんのとんでもない落差だったり、序盤の全く目を合わせないで早口で話そうとする住田の不思議ちゃん感だったり…。
市川役の久保山さんもカメオ出演していて嬉しくなっちゃった😄

ホラーでお決まりの理不尽な死に対し、生きる人間の底力を見せつけてくれる良作ホラーだった！原作も読んでみたくなったなー。