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フライ・ミー・トゥ・ザ・ムーンのandesのレビュー・感想・評価

3.5
アポロ計画の根強い陰謀論を、その文脈を使ってひっくり返した娯楽作。飽きずに観られるし、実際に面白い。エピソードを矢継ぎ早に繰り出して、役者の力で見せきる。ただ「海外ドラマ3話分」といった感じもする。
割と早い段階から「んなアホな」という展開なので、乗れないとキツイと思う。指摘するのも野暮だけど、普通に考えたら「NASAに無断」の広報戦略なんてありえない。
まぁ、謎の切れ者女スカヨハと一本気テイタムはハマっているし、ウディ・ハレルソンは無茶苦茶な設定をギリギリ成り立たせている(所々キツイけど)。個人的にはヘンリーとか曲者議員の面々とか脇の上手さが光っており、リアリティの構築に貢献していた。
正直、話の本筋はラブコメだと思うし、アポロはオマケのような気がする。猫ちゃんによる「ネタバラシ」は可愛いけど、いくらなんでもお粗末(狙っていても寒い)。発射直前でテレビ盗むのも、蛇足のような気もする(更正後のスカヨハの貢献の絵を撮りたかったんだろうけどやり過ぎ)。
「虚構」を題材にした作品なので、そのまま構造的に「映画」の話でもある。確かに興味深いが、入れ子になった「構造」が面白いからといって、面白い「映画」とはならないので加点はしない。
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