バカよあなたは

フライ・ミー・トゥ・ザ・ムーンのバカよあなたはのネタバレレビュー・内容・結末

4.1

このレビューはネタバレを含みます

フェイクとトゥルースに翻弄される人々

ケリーのマーケティングや騙し合いに比して、ラブコメ要素強めだったのが予想外だったが、アポロ計画という実在のプロジェクトが舞台という設定はやはり効いていて、終始楽しく見れた。


凄腕のマーケターのケリー。彼女にはある秘密があった。

モーに秘密を握られてたケリーがアサインされたのはアポロ計画真っ只中のNASAの広報。世間はソ連との宇宙競争に勝てば冷戦が明け平和な世界がやってくるという希望に満ちる一方、科学により信仰が揺らぐ不安や予算の使途への不信感が渦巻き、アポロ計画の予算獲得は難航していた。

アポロ計画の責任者であるコールは最初ケリーの仕事に賛同していなかった。しかし着々と予算を獲得していく彼女を見て、彼女の仕事を受容し、一度は見初めた彼女に再び惹かれ始める。

ケリーの提案で宇宙船にカメラを積むことが決まる。これが今回の物語の転機になる。

モーがケリーに持ちかけたのは月面着陸のフェイク映像を作ることだった。ケリーは最初断るものの、コールに秘密がバラされることを恐れてこの裏計画に加担する。

その一方、コールがテレビインタビューを受けることになる。これは失敗が許されないインタビューであったが、アポロ1号の責任を問われ、コールは怒りを露わにしてしまう。彼は嘘をつくことはないと断言した。

しかしその後コールは持ち味の正直さで議員の心を掴む。そこでケリーは嘘でなくても、人の心を掴めることを知る。

ケリーはNASAの職員たちに愛着が芽生え、計画を降りることにするが、そこでモーから着陸の成功の如何に関わらず、フェイク映像を流すことが告げられる。

ケリーはコールに裏で進行する計画を伝える。彼女は彼に自身が以前詐欺師だったという秘密を伝え、計画を阻止しようと持ち掛ける。

ケリーとコールは互いに「嘘」を使って、アポロ計画と裏の計画の阻止、それをモーに悟られないようにすることを進めていく。

結末はフェイク映像の撮影現場に黒猫が入ってしまい、フェイク映像を流さないことがかえってアメリカを救うことになった。物語を通してコールたちを振り回した黒猫が、最後は幸運を運んで来たのであった。

最後のシーン、ケリーとコールは和解する。ケリーは正直に生きることができると知り、コールは嘘の使い方を知った。