カトリック教会の頂点に立つローマ教皇の選挙(コンクラーベ)の裏側を描いた(おそらくカトリック教徒には)衝撃的なドラマ。
前ローマ教皇が逝去した際には、次期候補者として日本人神父の名前も取り上げられていた事、次期教皇が決定すると煙突から煙を上げて公示する等、興味深い〝習わし〟が日々ニュースで取り上げられていたのは記憶に新しい。
本作はあくまでものフィクションではあるものの、教皇候補者の面々の裏の顔が明らかになる課程、特に最終的に選挙で選ばれた者の素性に関しては確かにかなり大胆な内容。
但し、非カトリック教徒の目線からすれば、これらの類いの聖職者の醜聞は実際のニュースや既に数々の映画で取り上げられているので、主役のレイフ・ファインズを筆頭に、スタンリ-トトウッチ、ジョン・リスゴーといった芸達者かつ曲者演技が上手い役者陣の好演を持ってしても、それほどの驚きは感じない。
この〝カトリック教徒にとっては〟衝撃的な結末を迎える内容でバチカン市国のシスティーナ礼拝堂がロケ協力などする筈も無かろうが、それでもしっかりリサーチを重ねた努力が伝わる礼拝堂内部の美術セットや衣装など様式美の素晴らしさも見応えあり。
個人的にはお久しぶりのイザベラ・ロッセリーニの渋みが光る演技を見ることが出来たのが一番嬉しかったかな。
神の前で人は皆平等と諭しながらもアダムの肋骨からイブが誕生した・・と矛盾する聖書の内容に一石を投じる本作。是非、多くの人々に鑑賞していただきたい。