この映画を観る前は少々、不安でした。
いわゆる宗教の話なので、日本人である私が実感としてわかるかどうか不安だったのと、コンクラーベと呼ばれる教皇選挙については、煙突から白い煙が上がれば教皇選出決定であるということくらい、つまり知識や情報があまりにも少ないと思ったからです。
しかし、この映画の良さは台詞に頼らない説明の上手さにありました。
だから、見ていれば、仕組みは自然とわかるようになっています。
大変、理知的な映画であり、大人の映画。
しかし、カソリック教会の教皇を選ぶといっても、実際は崇高なものというより、根回しや足のひっぱりあい、野心のぶつかり合い、つぶし合い・・・・・・実に政治の世界なのですね。
この映画は全編ローマでロケされていて、言葉も英語だけでなく、世界中から120人の枢機卿が集まって、2/3に票が達するまで選挙は繰り返されます。
いつまでたっても票が割れ、決定的な候補者がいない中、枢機卿たちの暗躍や疑心暗鬼がどんどん広がっていく。
コンクラーベを仕切るのはローレンス枢機卿(レイフ・ファインズ)で、心労が絶えない上に自身も候補者の一人。
謙遜して辞退するものの、(そういう枢機卿が何人かいる)誰もが実は「世界一有名な人物」ローマ教皇になりたいのです。
重厚な撮影、美術、衣装の上に、一体誰が新教皇にふさわしいのか?のサスペンス要素もあって実に興味深く楽しむことができました。
若者や恋など出てこない、渋い配役で、女性ですらイザベラ・ロッセリーニがシスターの役で出てくるくらいで、レイフ・ファインズをはじめ、ジョン・リスゴーなど娯楽性(単なる目の保養的な)の高い映画ではありません。
しかし、宗教という名の政治の世界。
なかなか見ごたえありました。
2025年3月31日
TOHOシネマズ市川コルトンプラザ