2025(97)
手放しで絶賛できるくらい面白かった。
これ脚本の完成度めちゃめちゃ高いな。
教皇が死去したことで行われることになったコンクラーベを取り仕切ることになったローレンス首席枢機卿。
彼自身は教皇の座に興味はなく、盟友のベリーニを応援するが、教皇の椅子を虎視眈々と狙う他の枢機卿たちに翻弄され、否応なしにその中心に巻き込まれていく。
野心など毛頭ない人が図らずもパワーゲームに参加せざるをえなくなる点が、たしかに『鎌倉殿の13人』に通ずる面白さがあった。
さらに保守派とリベラル派との間の確執、そして同言語のコミュニティという閉塞性や人種観念など、様々な人の様々な思惑がコンクラーベに絡んできて、目が離せなかった。
他者を蹴落とすために策略を巡らす強欲さ、親友同士であってもいざ相手に票が集まりだすと、「お前野心ないって言ってたやんけ」と疑心暗鬼になってしまうところに人間味がすごく出ていた。
また、本作は、美術的要素も素晴らしい。
左右対称で厳格さがうかがえるセットや、枢機卿たちの印象的な赤い衣装がとても美しく、視覚的にも観ていて興味深い。
メインキャラが多いから、誰が誰だか一見分からなくなりそうだけど、結果発表の度に名前が呼ばれるし、何より各キャラのクセが二郎ラーメンくらい濃くてマシマシだから、全然心配いらない。
ラスト、予想の数歩先を行く仕掛けがあって、悔しいけどあっぱれ感があった。