このレビューはネタバレを含みます
中盤からの転調っぷりといいますか、70年代アメリカ映画っぽい画面で肉薄したカサヴェテス経由のサフディ兄弟タッチっぽくなるところがめちゃめちゃ気持ち良くて、これ大丈夫かぁ?なスウィーティーな前半部分が帳消しになる勢いだった。
その中盤で登場するユーリー・ボリソフが本当に素晴らしい。『コンパーメントNo.6』を観られていなかったのが悔やまれますが、彼の方が助演男優賞にノミネートされた所以がよくわかった。ラストのラスト、アノーラが感情露に泣きじゃくるところは✂️しても良かったなとか、120分以内でも…とか無くはないんですが、“犬チン🐶♂️”、“タンジェリン🧍♀️”に次いでではありますが、私はそれ相応に楽しくは観ました。フェリーニ『カビリアの夜』の新解釈としても、一番ポップなベイカー映画としても。
マイキー・マディソンって見ようによってはとても可愛く見えて、見ようによってはちょっとブチャくも見える…なんというか絶妙な“顔”の持ち主で、タランティーノの“ワンハリ”でも、“スクリーム”5作目でもその“顔”一発で持っていく感じがあった。真に“良い顔”しているなと。
“本当に本当に思ってもみなかった形での出会いを果たす…”という意味での、真にロマンティック・コメディであり、現代的スクリューボール・コメディだと思う。願わくは次回作は、またザラついた小さいインディ映画を撮って欲しいぞショーン・ベイカー📽️(※『アノーラ』は実は9億かかっている💰️)