ゆけちゃす

ANORA アノーラのゆけちゃすのレビュー・感想・評価

ANORA アノーラ(2024年製作の映画)
4.0
ストリップダンサーのアニーはある夜、職場のクラブでロシア人の御曹司イヴァンと出会う。イヴァンに気に入られたアニーは、彼がロシアに帰るまでの1週間「契約彼女」として贅沢とセックスにまみれた日々を過ごす。休暇の締めくくりにラスベガスの教会で衝動的に結婚した二人。しかしそれを知ったイヴァンのお目付け役が乗り込んできて…。

現代のシンデレラストーリーの顛末をリアルに描き出すビターな映画。私は基本、映画に夢や希望や想像力の及ばないものを求めているみたいなので、本作の夢も希望もなく想像の範囲を超えないシブい展開にどういう感想を抱けばいいかよく分からない。ついでに何故本作が賞レースで評価されたのかもよく分からない。観客に何を感じさせるために本作は撮られたのか?

というか、みなさん本作の結末に納得できました?私はなんか納得できなかった。
反撃らしい反撃もできず、ただ流されるまま婚姻の無効手続きに付き合わされるアニー。もちろん「そこに愛はあるんか?」と問われれば甚だ疑問の即席カップルではあったけれども、自分の身体及び人生の決定権がずっと彼女にないままなのは不憫に思った。
思えば縛られたり羽交い締めにされたり、身体の自由が無いシーンが続く。そもそもストリッパーという職種自体、身体の自由を売って稼ぐ仕事だし。

けれども私は「ストリップダンサーだからしかたがなかった」では終わってほしくなかったというか…。何かしらの希望や光、それはアニーの精神的成長でもいい、そういったものを示してほしかった。
多くの観客が本作の「身分違いの恋」の結末に納得してしまわないか、それが少し心配ではある。
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