皆さんのレビューを読んで「サメ映画」なるジャンルがしっかり定着している事にまず驚く。僕はこの「セーヌ川の水面の下に」でまだ2~3本目の超初心者という事になる。以下、そんな浅い視点のレビューなのでご注意を。
サメと言えば海に生息する生き物のはずだけど、本作はフランス映画という事で、パリの象徴的存在であるセーヌ川を舞台にして、科学者や環境活動家による限られた水域での戦略的な攻防を軸に描いている。よってパニック映画につきものの、お馬鹿映画というムードはあまり表に出ていない。
代わりに打ち出されているのは海洋の環境破壊や、パリ市長の無能、地下墓場を舞台にした血みどろの惨状等、いかにもフランスらしいブラックで意地悪な描写である。
特に、サメ潜伏の噂を知りながらトライアスロンを強行開催する市長は、大阪万博開催を推し進める大阪府知事を思わせる部分がある。
こういう風刺性をパニック映画にも盛り込むフランス映画業界が羨ましい。これ、僕は、アメリカやインド、韓国、中国辺りの映画に対しても、同じような事を言っているけど、つまりは日本映画だけが駄目過ぎるという事なのだと思う。