ふかい

ナミビアの砂漠のふかいのレビュー・感想・評価

ナミビアの砂漠(2024年製作の映画)
4.8
現代版の「ママと娼婦」的な肉体のぶつかり合いと精神に異常をきたしそうな居心地の悪さを常に感じさせながら、描かれるキャラクターと台詞はリアリズムに満ちているとしか思えない、恐ろしいバランス感。
諦めと怠惰に満ちた女性キャラクターは絶対今でないと説得力を持たせられないし、それは絶対に河合優実が演じなければならなかった。こんな無謀な企画が今の日本で通ったこと自体奇跡と言わざるを得ない。
ダイナミックで大雑把であるように見えて、細部に凝らされた仕掛け(隣席のノーパンしゃぶしゃぶの会話が段々とボリュームが上がるところや、死闘を繰り広げる隣室から無機質なオンライン英会話が響いてくるところなど)が効きまくっている。
「汚れた血」のような全力疾走と、歩道橋へのあの無邪気なズームがまたニクい。
タクシーからのワインゲロを見せた映画は初めてでは。あとトイレをああいう風に使うんだ、というのも驚き。AVでもなかなか見ない光景。
「夜明けのすべて」が善人しかいない無菌室的世界と批判していた友人がいたけど、それと反対にこちらはオンライン診療の杓子行儀な精神科医(安心の前田歩)を描いている。
「お前は実家があるからいいよなプチブル死ね」
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