カナはめちゃくちゃに見えるけど、明らかにめちゃくちゃなのは世界の方なので、その中でまともな感覚で生きようとしたら、そりゃ狂ってしまう。
2024年の日本で21歳の女性が生きていくということを真摯に撮った作品だと思う。
僕は40代の男性で、性差の面でも時代の面でもカナよりずっと色んなことを許されて生きてきたので、共感したなんて言えないし、「今の20代はきっと共感する」とか偉そうに語ることもできない。
でも、この映画を年齢や属性問わずたくさんの人が観たらいいな、と思う。
120%河合優実の映画だったけど、唐田えりかと渋谷采郁(「悪は存在しない」にも出てたね)が後半良い所をもっていったのも良かった。
唐田えりかの「英語でも勉強するとか?」というセリフ、誰も彼もがカナにスカスカで抽象的なことしか言わない世界で、唯一現実的な提言なんだよな。実際に英語を勉強するかはともかく、そういうことを言ってくれる人がふっと現れ、わずかに光が差す兆しが見えるという希望の描き方がとても良かった。