拾えよ。の緊張感たるや
21歳のカナにとって将来について考えるのはあまりにも退屈で、自分が人生に何を求めているのかさえわからない。何に対しても情熱を持てず、恋愛ですらただの暇つぶしに過ぎなかった。同棲している恋人ホンダは家賃を払ったり料理を作ったりして彼女を喜ばせようとするが、カナは自信家のクリエイター、ハヤシとの関係を深めていくうちに、ホンダの存在を重荷に感じるようになる。
あんのことの河合優実もすごかったけど本作の演技愛桜また凄かった。。
引きの画から物語が始まるけど、都会の雑多からたまたまフォーカスを当てた女性の物語ってことなのかな。
身の回りにはいないタイプだけど友達の知り合いくらいの距離感には居そうと思わせるカナの人物像はとてもリアルで痛ましかったり息苦しかったり。。
容易くは共感できないのだけど、何かしらのシンパシーを感じてしまったばかりに引き込まれてしまった。
冒頭の友達とのカフェでの会話のシーンがまさにそのカナの人間性が掴めるシーンなのだけどその手法もめっちゃ上手くてあのシーンで掴まれてラストまで引っ張り回された人も多いはず。
そして金子大地演じる脚本家もとても良かった。
浮気相手だったハヤシが徐々に態度が変化していく様はごめんねと思いながらもやっぱり腹が立った。
思ってたんと違ったんでしょうけど、彼氏と別れて選んで欲しいと懇願したのならこちらが愛想尽かして捨てるまでは好き好きで居て欲しかった。
そう思いつつも終盤の二人は逆にお互いに全力になれているように見えて結果ハッピーと自分の中では飲み込めた。
よく「実生活で充実感を得るためには依存先を複数持つこと」とよく言うけど、自分を支えるものは多ければ多いほど精神が安定するのはとても理解できる。
カナの場合依存体質には見えないけど、ホンダとハヤシの二人と繋が理を持っていた方が安定していたし、ハヤシ一本に絞った結果一気に精神が崩れた訳で。
ただここで気になるのはカナは一人になったらどうなるのだろう。
依存体質には見えないからなんやかんやテキトーに男作ってだらっと生きていけそうな気もするし、理由もわから独りずグチャグチャになるようにも思える。
きっとこの作品は観る年齢や回数によって見え方がグルグル変わるような気がする。