怪獣映画というよりヒューマンドラマ。
舞台は戦後の日本。戦争によって焦土と化し、なにもかもを失い文字通り「無(ゼロ)」になったこの国に、追い打ちをかけるように突如ゴジラが出現する。ゴジラはその圧倒的な力で日本を「負(マイナス)」へと叩き落とす。戦争を生き延びた名もなき人々は、ゴジラに対して生きて抗う術を探っていく。
公開当時にも書き散らしましたが、1年経ってモノクロ版で改めて鑑賞。
山崎貴監督は代表作がALWAYSというっこともありノスタルジーな雰囲気が作品によく反映されますが本作もまさに戦後昭和の東京が舞台。
上陸し街を破壊するゴジラは第1作目の1954年の「ゴジラ」オマージュを盛り込みつつもメインはゴジラよりニンゲン。
本作を怪獣映画としてワクワクしながら観ると不完全燃焼になりがちです。
ただ、ゴジラのビジュは想定以上のかっこよさがありそこだけは高評価したい。
予告編などの先出し映像で腕が長いなぁやシュッとしすぎてるなぁ思っていましたが、実際映画館で観たその姿は兎に角カッコいい。腕やスタイルもそこまで気にはならなくて出現する度にテンションが上がりました。
背びれはちょっとアレでしたし、熱射線前の予備動作は笑いましたがまだ範疇。
再生力の演出も良かったし、傷跡が残るのも生物らしくて良かった。
海で泳ぐ姿もちょっと滑稽ではあったしポンポン船なんかすぐ沈めろよとか思ったけどけどゴジラに生き物っぽさがあったし、何より波飛沫の表現がすごかった!!
本作は神木隆之介演じる敷島浩一の物語だと思い観るならきっと楽しめるはず。
特攻部隊に配属されるも死ぬのが怖くなり整備不良の嘘をついた上、ゴジラに襲われる整備員を見殺しにし生きながらえたしがらみとの対峙は本作のメインの筋。
ゴジラはその負目に禊を済ませるための災害。
ゴジラは90年代のvsシリーズが好きなので正直”ゴジラ映画”に求めるものが違いすぎて本作は好きとまではならないのが本音。
シン・ゴジラも怪獣映画とは言い難かった。
でもシンも-1.0も大ヒットしたということは今後のゴジラ映画はこっち路線ばかりになるのだろうなぁと思うと寂しい。
モノクロ版にする事で視覚情報がごっそり削がれることで荒廃感が増すしゴジラの雰囲気もまた味が出た気がする。