このレビューはネタバレを含みます
旅行中のアメリカ人一家が、旅先で意気投合したイギリス人の自宅に招待され週末を一緒に過ごすことになるが、次第に彼らの異常さが明らかになっていくという話。
デンマーク映画「胸騒ぎ」のアメリカリメイク。
後半まで同じ話をなぞっただけじゃんと思っていたが、後半は完全に別物になっていてオリジナルより胸糞度は下がった。
元ネタを知っている人からすればオリジナル版で感じていたどうにもできないストレスを払拭してくれるのでスカッとはしたが、オリジナルの良かった所がまるっきり消されていたので、比較する意味でも両方見た方がいいとは思う。
アメリカ人のベン一家は旅先で知り合ったイギリス人のパトリックとその妻キアラ、息子のアントの元を訪れ週末を過ごすことになる。
基本はオリジナルと同じ。
ヴィーガンの妻に肉をすすめてきたり、汚い布団で寝かせようとしたり、居心地は悪いが正直に相手に告げてしまうと自分たちの印象も悪くなるし好意でやってくれている相手に失礼だ、という申し訳無さを利用してどれだけ我慢できるかと試されている気分が続く。
アクティブな遊びを色々教えてくれるし楽しい面もあるのだが、自分の子供を異様に厳しく叱ったりとパトリックの粗暴さに振り回され続ける。
パトリックはガタイが良くてズバズバと切り込んでくるタイプだが、ベンはほっそりとしていて優柔不断なタイプ。
ジェームズ・マカヴォイがガチムチに鍛えているので威圧感が凄くて、より二人の上下関係、主従関係というものが明確になっていたように思う。
真相を知っても、ルイーズの方が冷静で指示が出せるのに対してベンは黙って驚いているだけで実に頼りない。
マッチョなアメリカイズムを体現しているのはイギリス人のパトリックで、それに良いように扱われている大人しくて紳士的なのはベンである、というイメージの逆転現象が起きているのも暗喩的ではあった。
オリジナルではそれってどうなの?逃げようと思ったら逃げれるでしょ、という状況があったが、こちらはアントが水に突き落とされたりと逃げられない状況に追い込んでくるのが上手い。
ただ、結末がオリジナルと180度違って、よりエンタメ色が強くなっている所は賛否もあるだろうと思う。
絶望的な状況に追い込まれ続けるオリジナル版もそれはそれで味はあるし、主に妻ルイーズの活躍によって活路が開かれるリメイク版の展開は現代的でもあった。
個人的には、オリジナル版はかなり気分が落ちこんでしまったのでまだカウンターを見せてくれるこちらの方が若干好みといった感じ。