千年女優

お母さんが一緒の千年女優のレビュー・感想・評価

お母さんが一緒(2024年製作の映画)
4.0
親孝行にと誕生日の母親を連れて温泉旅行に訪れた三姉妹、固い性格で容姿に恵まれた妹達を妬む弥生と恋愛経験豊富ながら劣等生であることにコンプレックスを持つ愛美に、聞き分けが良いが母親を押し付けられたことを内心良く思わない清美。各々の方法で祝うはずが口の悪い母に翻弄されて起こるトラブルの数々を描いたドラマ映画です。

寡作の映画監督ながらもロッテルダム国際映画祭でグランプリを獲得した『渚のシンドバッド』を始めとして、その時点で自らも抱える人生の問題を扱って高い評価を得る橋口亮輔が『恋人たち』から九年を経て制作した作品で、ペヤンヌマキが執筆した舞台脚本を脚色した物語を江口紀子、内田慈、古川琴音、青山フォール勝ちらが演じます。

作品毎に人生の階段を上がってそこにある光陰を描いてきた橋口作品の系譜に新しく「子供達」の物語を加えていて、ハードな展開だった前作からテイストを変えて悲喜こもごもの展開をユーモラスに語ります。なにかと「毒親」が取り沙汰される現代にあってイージーな論調に頼ることなく、それでもたくましく生きる子の姿を綴る一作です。
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