月うさぎ

バーン・アフター・リーディングの月うさぎのレビュー・感想・評価

3.5
「バーン・アフター・リーディング」って「なおこの録音は自動的に消滅する」のイメージですよね?スパイ大作戦なのか?
なんて勘違いしてはいけません。
ネームバリューや演技力抜群の役者達を出演させ、映像的には思わせぶりにスリリングなシーンを挟み込みながらも、それが全て無駄という(しかも意図的に)、なんとも不思議な映画だったのです。

まず、背景にCIAという諜報機関があり、機密情報(と、勝手に勘違い)を巡ってのドタバタに、夫婦の不倫と離婚訴訟が絡んで、人殺しが起きる惨事へと物事が悪い方へ悪い方へ転がっていき…

「君、もしくは君のメンバーが捕えられ、或いは殺されても、当局は一切関知しないからそのつもりで」
こういうことか?!ってなります。

CIAは隠蔽体質の官僚主義の固まりで、市民と乖離している怪しい組織として描かれます
つまりエスピオナージュの裏返しの物語。

ブラッド・ピッド、ジョージ・クルーニー、ジョン・マルコヴィッチ、フランシス・マクドーマンド、ティルダ・スウィントンの豪華5大キャストが結集
それがそろいも揃って大バカ者を演じるという、もったいなさ(笑)
俳優目当てで観るとハズすとか、そんな評価も見かけましたが、キャスト目当てでなくて何の価値がありますか?

ブラッド・ピッドはノリで生きてる筋肉バカ。最後の満面の笑みが忘れられない。ジョージ・クルーニーは色ボケの嘘つき男で被害妄想。オーバーアクトな表現がありえない。ジョン・マルコヴィッチはアル中で下品で口汚い暴力男、は、イメージそのまんまか?ティルダ・スウィントンは冷酷で可愛げのない不倫女。一度たりとニコリともしなかった。そしてフランシス・マクドーマンドときたら!
全身整形をして出会い系サイトでいい男をゲットすることだけを夢見て暴走する無邪気な中年オバさんだ。これがまた無駄に可愛い。
みんながみんなとても残念な人たち。
自分の立場でしか物事が見れていない、とってもみっともない姿。
こんな酷い役は他の映画では観られない!

ブラッド・ピットはこの役を演じるのはとても難しかったと語っていたそうです。

よくよく考えるとリンダ(フランシス・マグドーマンド)が猛進しなければ、誰も死ななくて済んだのに…。思い込みって怖い。引き際を知らないって危険。
【教訓】
素人は玄人相手に喧嘩を売っちゃダメね。
あー、CIAよ。あんたらも腐っとるね。
月うさぎ

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