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センチメンタル・アドベンチャーのadeamのレビュー・感想・評価

3.5
出演作の音楽に携わることもあったイーストウッドが初めて音楽を主題に扱ったロードムービー。
病に冒されながらもナッシュビルに向けて旅をする歌手をイーストウッドが演じ、同行する甥っ子を実子のカイルが演じています。
旅の途中でハプニングが起きたり、仲間が増えたり減ったりとイベントはいくつも用意されているのですが、それらはドラマチックとはほど遠く、あまりにもゆったりとした牧歌的な時間が流れています。
しかしそれは退屈と言うより何とも心地良いテンポで、成功を夢見る人々への讃歌としてカントリーが優しく響いています。
夢見る若者たちの先頭を走る主人公は名もなき者として生きるよりも命がけで何者かになろうとします。
甥っ子を酒や女といった大人の世界へと導きながら、つまらない大人になるよりも、永遠に思春期のように夢を見ることを肯定する生き様が良かったです。
成功をつかむこと以上に、成功を夢見続けること自体に価値を見出すような結末も味わい深かったです。
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