片山慎三監督ちょっと天才すぎるのでは。。。『岬の兄妹』『さがす』『ガンニバル』とは一気に毛色を変えて、つげ義春原作作品の実写化に挑戦されているのだが、これは1億点の出来映えだと思う。
ひとりの男の夢と現実にフォーカスして、いったりきたり、ぐっちゃぐちゃで虚実を織り交ぜて進行するさまは、最近観た『ボーはおそれている』を彷彿とさせる。情景描写もさることながら、そのスタイルの幅広さが天才的。これをシネコンでできるのはすごい。ちょっと頭一つ抜けている才覚ではないだろうか。
前半戦は「?」というシーンも多くて、メタファー強めかな?とも思っていたが、全然そういうわけではなかった。ただただ、義男という一人の男の、心からの憧憬と渇望があらわれた夢であったというわけだ。
わたしたちが見る夢のように、一瞬が永遠に感じられて、近しい人々が異なる役回りで登場する。そんな夢だ。
「夢から覚めた夢をみている」といったように、かなり物語は入れ子構造になっていて、どのパートが夢幻なのか分かりづらいが、おそらく戦場のシーン以外すべて夢なのではないだろうか?
音楽もめちゃくちゃ良くて、何故か最後の方ちょっと泣きそうになった。
これは高評価を付けざるを得ないな、と久しぶりに思った。