国家体制の如何にかかわらずスマホなどの最新テクノロジーは人々の生活に浸透してくるので為政者が体制を維持するためにはとてつもなく無理が生じる。
自由を求めて弾圧される犠牲者が悲惨であることはもちろんだが生活を守るために体制側の歯車となっている者も精神に変調をきたすことは否めない。
まさに命懸けで自国の暗部を世界に向けて告発するモハマド・ラスロフ監督だが、作品の後半になると一丁の拳銃を小道具に使い、家族ドラマからまるでサイコスリラーのような展開にし、カーチェイスやらドンパチやらを入れ込んでしまうところに映画そのものに対する深い愛情を感じた。