このレビューはネタバレを含みます
人気現代アーティストのもとで働いている沢田は、日々淡々と仕事をしているが、腕を骨折したことをきっかけに仕事を首になる。
帰宅して、キャンバスを這う蟻の動きを追って導かれるように◯の絵を描き始めるのだが、それが想定外に評価されることになり、彼を取り巻く世界が大きく揺れ動くことになる。
いわゆるわかりやすい内容ではないが、色々と考えさせられる良い映画だった。
たとえば、もともとは注目されたいとも思っていなかった沢田が、◯の絵の評価がされてると知って、自分が描いた画家だと名乗り出るシーン。
長い裏方時代の満たされない承認欲求に突き動かされたのか、あるいは現状を正当化するために自分は注目されたくない人だと思い込んでいたのか、想定もしていない事態を前に新しい面が出てくるようでおもしろかった。
自分でもコントロールできない大きなうねりの中、なんとか地に足をつけて踏ん張ろうとする沢田の姿が印象的だった。
ゆるゆるモノを考えながら観るのにオススメの一本。
観終わったら寿司が食べたくなるかもしれません。