仲の良い男がいた。
もっと正確にいえば、男友だちというのと、好きな男というのの間くらいの男だった。
ある日、男は、実家を継ぐことになったんだ、と言って、わたしの前から、東京から、去って行った。
それから、わたしにとって、和歌山県は、ほかの県とは、ちがう意味を持つ県になった。
和歌山なんて、紀州のドンファン事件でしか、知らなかったから。
それからは、いろいろ、和歌山情報に目が行くようになって。パンダがいっぱいいることも、知ったよ。
今日、だから、ひさびさに連絡したんだ
もっと正確にいえば、彼に連絡するために、この映画を観ることを選んだのかもしれない。
「元気? 今日こんな映画を、みたよ。あなたがいるところから、近いのかな」
mommyのポスターの写真を添えて。
男「全然遠い。車で2時間」
今日、わたしは、和歌山県という県の面積が、めちゃくちゃ広いことを新たに、知った。
林真須美は、冤罪なのかもしれない。ふ