ゴン吉

新座頭市 破れ!唐人剣のゴン吉のレビュー・感想・評価

新座頭市 破れ!唐人剣(1971年製作の映画)
4.0
盲目ながらも居合斬りの達人である渡世人の生き様を描いた「座頭市」シリーズの第22弾にして香港の「片腕必殺剣」シリーズの第4弾。
勝プロの日本版と香港ゴールデン・ハーベスト社との合作の香港版の二つのヴァージョンがある。
日本版は安田公義が監督を務め、香港版は安田と黄銘の二人でメガホンをとっている。
勝新太郎と「片腕必殺剣」シリーズの王羽(ジミー・ウォング)がW主演、寺田路恵、香川雅人、安部徹、浜木綿子、伊東四朗らが共演。

中国から来たばかりで日本語の分からない唐人剣士の王(ジミー・ウォング)は、間々田の福竜寺に行く道中で、大道芸をしていた唐人の三人家族と知り合い、道案内してもらうことになる。しかし三人家族の子共の小栄(香川雅人)が、将軍にアワビを献上するための南部藩の大名行列に飛び出したため、斬り殺されそうになる。王は大名行列の供先を斬り殺して小栄を助けるが、小栄の両親は殺され、王も南部藩から命を狙われ逃走する。 
たまたま通りかかった座頭市(勝新太郎)は、王と小栄を民家のお米(寺田路恵)宅に預けて酒と団子を買いに出かけるが、その間に藤兵ェ一家が賞金首となった王を襲い、匿ってくれたお米の両親は殺され、小栄は連れ去られてしまう。生き延びた王とお米は座頭市が密告したと疑う….     

「正月のちけえのに 命を粗末にするんじゃねえ」
日本の「座頭市」シリーズと香港の「片腕必殺剣」シリーズのコラボで、勝新太郎演じる座頭市が、唐の武道家と対峙する異色作で、香港のカンフースター王羽を相手に死闘を繰り広げる。
オープニング早々、座頭市がやくざの三人斬りを魅せて盛り上がる。
その後も、梅干にぎり飯斬りやきゅうす斬り、階段斬り、大八車斬りなど沢山の居合斬りを魅せてくれる。腕が飛び、勢いよく血飛沫が吹き出すなどグロイシーンも。
悪人は安部徹演じる古川の藤兵ェ親分。 
好敵手は唐人剣士の王で、当時の香港カンフースターのジミー・ウォングが演じている。当初は無名時代のブルースリーが演じる話もあったが、勝新太郎が断ったため実現せず、座頭市ならずも人をみる目がなかった勝新太郎が残念である。
終盤では唐人剣士が南部藩士を相手に剣とカンフーで大立ち回りを繰り広げ、その一方で座頭市が藤兵ェ一家をバッサバッサと斬りまくる。
最後は言葉が通じないが故に悲劇を生むのが哀しい。 
「言葉さえ通じてりゃ 斬り合わなくてよかったものを」
結末は勝プロ版と香港版で異なるようなので、機会があれば香港版も観てみたい。

2025.1 BS12で鑑賞
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