公団の汚職がらみで自殺した父の復讐を果たそうとする男を描いたサスペンスドラマ。
昭和三十五年度芸術祭参加作品。
黒澤明が監督を務める黒澤プロダクション製作の第1作目。
田中友幸と黒澤明が製作を担当し、三船敏郎が主演、森雅之、香川京子、三橋達也、志村喬、西村晃、加藤武、笠智衆、土屋嘉男、田中邦衛、藤原釜足らが共演。
土地開発公団の副総裁を務める岩淵(森雅之)の娘(香川京子)と、岩淵の秘書・西(三船敏郎)の結婚披露宴が盛大に行われる。そのとき、披露宴司会役の公団課長補佐の和田(藤原釜足)が汚職疑惑で逮捕され、その一方で7階の一室に花が刺さった新築庁舎を模したウェディングケーキが運ばれてくる。花が刺さった場所は、5年前に公団の課長補佐が窓から飛び降り自殺した部屋であった。逮捕された和田は、検事の尋問に黙秘して釈放されたのち、地獄谷で自殺しようとする。そこに西が現れ、遺書を残して自殺したかに見せかけて助ける....
昭和時代の高度成長期における公団汚職事件を描いた犯罪サスペンスドラマ。
主演の三船敏郎が若くて黒縁のメガネをかけていたこともあり、最後まで気付かなかった。
前半はシリアスにストーリーが進み、後半はコミカルに事件の真相と裏金の隠し場所が徐々に明らかになる。
終盤は女性が絡み、最後はまさかのどんでん返しの結末に驚かされる。
時折流れる口笛が心に響く。
果たして西は復讐を果たす事ができるのか?
「これでいいのか?」
2025.3 NHK BSで鑑賞(プレミアムシネマ)
第34回キネマ旬報ベスト・テンで日本映画第3位、脚本賞を受賞