#12
素晴らしい映画だった。
基本設定は、田宮&あやや『その夜は忘れない』とおなじなのだが、プラス挿話がうまい。
冒頭のお断り字幕で想像がついたが、ヒロシマ被爆者の問題が、こんなふうに描かれるとは思わず、最後30分は、涙がにじんできて、仕方なかった。
こういう映画が、日本ではなく、アイスランドでつくられたことを、あたしたち日本人は、考えるべきだと思う。
キャスティングも見事だった。
主役の若い時期を演じた2人と、呉の“息子”、その3人とも、いわゆる「二世俳優」で、それが、うまい効果を生んでいる。
もっとも驚いたのが、キャスティング・ディレクターをつとめた奈良橋陽子さんで、あんなに味のある芝居をするとは思わなかった。
『SHOGUN』もそうだが、日本人がキチンと参加して描かれた海外作品が、またひとつ増えた。
この映画、あまりに宣伝不足だと思う。
原作邦訳が出ていることにも、触れていない。
あまりやる気が感じられず、残念。
本来なら、『敵』同様、シニアで満席になっておかしくない名作ではないか。
プログラムも内容ゼロ。
せめて、日本のロケ地紹介くらいは、載せてほしい。