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死霊のはらわたIII/キャプテン・スーパーマーケットのAZのレビュー・感想・評価

3.4
前作から繋がっているようで繋がってない。冒頭でざっくりと経緯が説明されるため、今作だけでも楽しめるようになっている。これはサム・ライミ監督の配慮によるもの。Ⅰだけをみてる人もいればⅡだけを見てる人もいる。その中で、あらゆる人が楽しめるようにと。シリーズが進むごとによりコメディ要素が強くなっているのと、実験的というか新しい表現を試みようとする姿勢を感じる。カメラワークも工夫が感じられ面白かった。

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もはや別ジャンルの作品へ。共通するのは「死者の書」のブルース・キャンベルぐらい。前作で、一応中世にタイムスリップした描写はあったものの、今作はその展開を改めて作り直したもの。そのため、完全に独立した作品。

死霊の巣食う穴倉から血飛沫が上がるシーンで改めて思ったのだが、昔の映画は血が鮮やかすぎる。これは当時のフィルム撮影やスクリーンに映し出された時を考慮したものだろうか。マニアは好きかもしれないが、まだ自分は違和感を感じてしまう。

チェーンソーとショットガンは健在で、それによって中世でも逞しいアッシュ。囚われの身から一気に立場は変わっていく。ただ、今までのアッシュとは違い少し性格に難あり。傲慢さや情けなさが垣間見える。それによって主人公らしさは薄らいではいたが、コメディ要素はより強くなっていた。

Ⅱから予兆は感じていたが、サム・ライミ監督は思いっきりふざけている。ホラー要素はもはやビジュアルだけ。だが、その分自由度は上がり、さまざまな表現が見れたのは面白かった。自分が見たのはディレクターズカット版でバッドエンドバージョン。元の時代に変える方法がまさかの眠りにつくという物理的な方法。そして戻りすぎた未来は崩壊しているのだった。

バッドエンドが不評だったため別のエンドが作られたわけだが、個人的にはどちらでもOK。

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バッドエンドバージョンは『バタリアン』的なものを目指したのかな。もはやコメディ作品なので、ブラックジョーク的に終わってもいいとは思うが、過去作がある手前、あまり振り切るのも良くなかったのだろう。

とにかく描写の部分に工夫が感じられる。動きの激しいカメラワーク。死霊たちとのバトルのコミカルさ。特に偽の「死者の書」に吸い込まれる描写は特殊メイクが使われ面白いシーンに仕上がっていた。

ただ、ⅠとⅡを見たならこの作品も見なきゃと言えるほどの作品ではなかった。サム・ライミファンとしては、その後の撮影方法の礎を感じることができるので見るべき映画だとは思う。
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