劇場2024-102 熊P
白石和彌監督作品!『孤狼の血』シリーズ、『碁盤切り』『凪待ち』など大好き!
今回も『碁盤切り』に引き続きどーーーんと、時代劇!
海外ではエミー賞18冠『Shogun』。
国内では『侍タイムスリッパー』で盛り上がってきていますね。
しかも明らかに『十三人の刺客』や『七人の侍』っぽい風情のタイトル!
話のスケールと、仕掛けの規模でその面白さが決まると言っても過言では無いジャンルの時代劇!期待が昂まる。
冒頭は、奥羽越列藩同盟と官軍の狭間で揉まれ揺れ動く、新発田藩の生き残りをかけた苦肉の策に利用される入牢者たちと監視役の新発田藩士たち。そしてこの臨時雇の罪人たちの軍団?が列藩同盟国と官軍と、砦を舞台に対峙することになることを理解させる。
要は日本版『スーサイド・スクワッド』ってことですね。
話の規模は大きいし、一藩の命運をかけた戦いっていうのも面白いし、知略謀略をもって列藩同盟をやり過ごすために、軍事的火力面で脅威的である官軍を相手に、曲者揃いでそれぞれの個性を活かした大立ち回り、、、を期待したものの、、、
いかにも軽いというか、薄いというか、、、11人の内、本当にその個性を活かし切ったのは仲野太賀さん(顔が善人だから苦痛が似合わないけど、殺陣はすごかったです)と東映剣会・本山力さん(この人は凄かった、殺陣もそして存在自体が!)
だけにしか見えない、、、
それもそのはず、火力の違いであっという間に個性的である面々が、死んでいくから残った人しか活躍できないという脚本・設定における構造的な問題。
辻斬り・小柳亮太さんはもう少し生かしておきたいキャラなのに、、、おろしや・岡山天音さんも、もっと活かしようがあったろうに、、、
赤丹、三途、二枚目、、、
なんだこのキャラは?としか思えないし、活躍しようにもできない設定。
そんな中、その上、、、
①ノロ、、、こういうキャラをあのような表現でしかつかえないというのももうやめた方がいいのでは、、、
②なつ、、、そりゃ罪人に女人もいるだろう。
けどあれほど中途半端な立ち位置では役者が可哀想な気もする。何のために居たのか?何か技とか、特技とかないんか?飯炊きだけ?
③引導、、、千原せいじさんが単に下手
(個人の感想です)
そして何より
④政・山田孝之さんの扱いに問題があるのではないだろうか、、、人足の薄汚さ、脂っぽさは十分に出ているが、なんか芝居が軽いし、存在としての重みがない。役どころとして彼を主人公的に扱うのはこの脚本の弱さと言っても良いのではないだろうか、いや、もし政を主役級に据えるなら、その裏にある人間ドラマをもっと描かないといかんだろうし、もう少し策略・知略が無いとのちに記憶に残らない。
その他死んでいく者もなんか無闇に死んでいくし、城での戦略も焦ったくなんの策もない、城代家老・阿部サダヲさんの芝居は軽いし、若殿なんかいる意味すら感じない。あの軽さが、若い殿様という存在を示しているというのであろうか、、、
その点、先に例示した『十三人の刺客』の稲垣吾郎さんのあの殿様や、『七人の侍』は全ての役者が、特に志村喬さん!の重厚な演技で物語っていたのと比すると、その軽さ薄さが目立つ。特殊効果のおかげで凄そうな作品に仕上がっているが、軽く薄いというのが率直な感想。
まぁギミックとして地理学的特殊要因をうまく兵器化し活用したり、吊り橋の効果は心理的にも危うさを感じさせたり、面白いのに人間が描き切っていないのが大変残念な作品だと思います。
唯一、本作で上手く活用できたのはナダル!
あの形相は官軍の下級士官にいそうな雰囲気を醸し出していたし、芝居も良かったです!見直しました。