いやー悪い夏だったなぁーとそれに尽きる作品
生活保護の不公正さみたいな社会的な一面ももちろんあるのだけど、根っから悪い感じだったり、環境が悪かったり、運が悪かったり、影で悪かったり、いろんな悪いなぁーがてんこ盛り。
「あっつい夏感」
冒頭のここ数年の暑すぎる夏感が詰め込まれた感じがとても良かった!!
悪意すら感じるようなあの暑さを春なのに思い出した。
でもせっかくならこの映像のような夏ど真ん中の時期に見たかった気もする。
「窪田正孝のパンチ!」
パンチがキレッキレで良かった!!
さすが「春に散る」でボクサー役やってただけあるなぁと。
また弱みに漬け込む時の問い詰め方とかもすげー悪くてすげー良かった!
体格で言ったら竹原ピストルの方が強そうなのに全然下っ端で殴られてるのも良かった。
暴力振るうことへの抵抗のなさが素晴らしい演技でした!!
悪いことの頭の回転の良さも素晴らしいキャラだったなぁ
「こういう役って言ったら河合優実」
みたいになりつつある気がする。
本作もピッタリマッチしてたと思うけど、「あんのこと」とか「ナミビアの砂漠」ほどのなんかすげぇ…って感じがなかった気がする。
「超幸薄、木南晴夏」
あまりにも幸薄い表情すぎて、似てるけど別の人かと思ったが、エンドロールで似てる人じゃないことを確認!
イメージ違いすぎてびっくりした!
木南晴夏さんにこの表情見出してキャスティングした人すごい。
「悪いことの連鎖そして混沌」
どこから始まったのか、悪い事が連鎖的につながっていく様子は安全圏内からスクリーン越しに見ている分には楽しめるが、人生どこでどんなふうに転がるかわからないので末恐ろしい…
本作は貧困に漬け込んだ悪い話からさらに話をややこしくする要素が最後にぶち込まれて
「なんて日だ!!」って言いたくなるような状態に陥る。
もう悲劇なのか喜劇なのか…
あまりの状況に思わず笑ってしまったが…
あまりにもカオスではあるが、あれだけいったんごっちゃ混ぜになったことである意味一旦連鎖は打ち切れたとも言えるのかな…
まさに台風が過ぎ去ったような、爪痕的なものは残るが清々しさみたいなものも感じるラストだった。
でもきっと役所の人たちあの後マスコミとかやばかったんだろうなぁという地獄が想像できてしまう。
夏は暑ければ暑いほど良いと思ってるアホな自分はあっつい感じの夏を描いてくれただけでだいぶ満足だけど、メインの題材からは想像できないエンターテイメントがある作品だった。
実際笑えない話ではあるんだけど、割と終盤の方まで上手い事悪い方面に落ちるのをギリギリ交わす守なんかも「おぉーまだ回避したかー」と感心しながら鑑賞できた笑
本作ラストの台風に象徴される天候などの演出もあるけど、全体的には水による表現がちょいちょいされていたように思う。
うっかりしゃべってしまった時にプールに穴が空いて水が漏れたり。
ペットボトルから溢れる水であったり…
そういう部分の表現もわかりやすく演出されているので、そこに注目して見てもまた面白いのかも。
あと竹原ピストルはこういうおっさんやらせても似合う。良い感じにおっさん俳優。