このレビューはネタバレを含みます
“パリに舞台を変えたキムタク劇場。
主役は極上の料理達”
“大根役者”という言葉は死語かもしれないが、今、大根役者賞なるものがあったとしたら、第一回受賞者は、間違いなく木村拓哉だろう。(キムタクファンの方、すみません。個人の意見です。)
20代から30年に渡り、人気ドラマ、映画に出演しながらどんな役にもなりきれない。ずっと木村拓哉がキムタクを演じてきた。
検事、美容師、警察学校の鬼教官、織田信長、一流シェフ、何をやってもキムタク以上でも以下でもない。
50歳過ぎてブレイクする俳優は日本では結構いるが、50歳過ぎても学習できない俳優は、おそらく彼だけだろう。
ある意味、凄い俳優かもしれない。
ドラマは未視聴。
予告編だけでほぼ予想出来る内容、キャストも主役を邪魔しない面子。
唯一、塚原あゆ子脚本に期待して観たのだが、彼女とて失敗はある。
“ラストマイル”の様に上手くはいかない。
現実では、パリ 1区のkeyというフレンチレストランのオーナーシェフ小林圭さんが、2020年にアジア系で初めてミシュラン三つ星を獲得したらしい。
彼が尾花(木村拓哉)のモデルなのか?、と思ったが、ドラマ、グランメゾン東京の放映は2019年なので、それはないだろう。
だとしたら、これは
野球コミック、アニメ”メジャー”の
ヒーロー茂野吾郎と大谷翔平選手の関係と似ている。
実験不可能と思われた、若き日本人のメジャーリーグでの活躍を実現した、アニメの茂野吾郎。
だが、大谷翔平という1世紀に1人の天才がアニメのヒーローを遥かに超えてしまい、更に進化を続けている。
本作で、
実現不可能と言われていた、パリでの日本人シェフのミシュラン三つ星獲得を実現した、グランメゾンパリの尾花シェフ。
だが、現実では
小林圭という天才シェフが2020年に三つ星を獲得し、更に3年間三つ星を守っている。
小林圭シェフの事を知っている観客は、彼に対するリスペクトが足りない、と思うかもしれない。
だが、怒ってはいけない。
これは、あくまでフィクションなのだ。
パリを舞台にした”キムタク劇場”なのだ。
主役は尾花シェフではなく、クライマックスで登場した超芸術的なフルコースの料理、一品一品。
本作を観に行く価値があるとしたら、この”料理達”だろう。