クリーム

アイミタガイのクリームのレビュー・感想・評価

アイミタガイ(2024年製作の映画)
4.0
ベタだけど、普通に良い作品でした。黒木華さんって、普通の日本人女子が上手くて、凄く親近感が湧く。泣かそうとして来ないけど、じんわり来る。久々にみんな良い人の映画で、安心して観れた。作り込みが素晴らしいパズル映画で、ちょっと都合良すぎだけどピースがハマる心地好さがあって、これは良かった。

ブライダルプランナーの梓には頼りないけど優しい恋人·澄人がいて、彼は結婚を考えるけど、梓は両親の離婚の際の争いがトラウマで結婚する気は無し。梓には中学時代に苛められていた時に救ってくれた親友·叶海がいて、彼女はカメラマンで、トンガに行くと言っていた。2人は、叶海が帰って来たら旅行に行こうと約束したのだが、叶海はトンガで事故に会い、帰らぬ人に…。



ネタバレ ↓



叶海の両親の手元にある叶海のスマホには今も梓からの LINEが届き、母は、この子は叶海が亡くなった事を解ってて送っていると理解していました。
叶海宛てに児童養護施設の子供達から手紙が届き、父がPCで叶海の死を伝えると施設長は訪ねて来て、叶海は取材で訪ねて来て以来、頻繁に施設を訪ね、子供達の写真を撮りトイレに飾り、季節の折にケーキやお菓子を贈っていたと言う。彼はその御礼を伝えに来ました。
梓は、叶海の死を受け入れたくなくて、LINEを送り続けていた。
仕事で金婚式のピアニストを探す事になり、叔母がヘルパーをしている家の93歳のコミチさんにその役を頼みたいと紹介して貰います。彼女は、3歳からピアノを習い、戦争中に自分の演奏で若い兵士達を送り出した事を悔やみ、それ以降、人前でピアノを弾いていないと渋ります。
梓は、演奏を聴いた事があると話ます。
中学の時に6時になると聴こえるピアノを叶海と2人で良く聴きに来て、癒されたと伝えます。引き受けてくれました。
澄人は、梓の祖母の家についていき、おばあちゃんの手伝いをして、近所のボヤ騒ぎで活躍し、梓の気持ちが動きます。電車を降りて、クリアファイルに入れた婚姻届を出し、プロポーズ…。
とりあえず、返事待ちに…。
金婚式で、コミチさんの演奏は大喝采で、式も大成功。
澄人との待ち合わせ場所に向かう梓は、駅でバッタリ、叶海夫妻を見つけ挨拶します。叶海が父とのツーショット写真を梓に送っていた為に解りました。父は、その写真でランチを賭けてると叶海が言っていたのを覚えてて、ランチの相手だったのか?と話す。あの日、見知らぬ若者(澄人)が、起こしてくれなかったら、梓の勝ちだったのに残念だったねと言う。
2人と別れ、澄人の元へ。途中で叶海の母が LINE に結婚に悩む梓に“踏み出しなさい”とメッセージを送ります。
澄人にいつか話していた宝飾店に連れて行ってと言い、2人で向かうと臨時休業。しかし、後ろから孫を抱えた店主がやって来て、知り合いの金婚式で臨時休業にしたけど、孫が飾りたいモノがあると言うから、来たと言い、店を開けてくれました。孫の手には金婚式の引き出物の食品サンプルのバナナが…。梓が担当した金婚式でした。
※相身互い身(あいみ たがいみ)とは、同じ境遇の人は助け合って生きていきましょうみたいな意味らしい。

簡単に受け入れられず、前に進めない梓の心情が丁寧に描かれていて、リアルに思えました。叶海の両親、養護施設の子供達、梓のおばあちゃん、コミチさん、澄人、そして梓、皆が何処かで繋がっていて、寂しさや辛さを分けあって、助けあって生きて行く。そんな偶然はあり得ない!と言う、パズルの組み込み方だけど、そんな風にハマって繋がっていたら、嬉しいなぁと思う所をピタリとハメてくる脚本。面白くて温かかった。穏やかな幸せが心地好く感じる素敵な作品でした。
草笛光子さんが、上品で素敵だった!
クリーム

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